問題提起 「もっと効率的に働きたい」「無駄な残業を減らして、プライベートの時間を確保したい」。多くのビジネスパーソンがそう願いながらも、具体的に何から手をつけて良いか分からず、結局は「もっと集中しよう」「気合で乗り切ろう」といった精神論に落ち着いてしまうことは少なくありません。しかし、個人の努力や根性だけで生産性は劇的に向上するものでしょうか。 残念ながら、多くのケースでその努力は空回りし、疲弊感を増すだけで終わってしまいます。なぜ一般的な改善活動は失敗するのか。その根本原因は、アプローチそのものにあります。本稿では、コンサルタントが実践する、生産性を確実に飛躍させるための5つの逆説的アプローチを、具体的なフレームワークと共に解説します。 1. 最初の落とし穴:「何を」改善するか決めずに始めてしまう 多くの改善活動が失敗する根本原因、それは「改善対象の選定」という最も重要なステップを飛ばしてしまうことにあります。例えば、ITコンサルタントがクライアントから「このシステムを導入したい」という要望を受け、すぐさまその要望に応えることから仕事を始めてしまうケースは少なくありません。しかし、本来はその前に、「そもそも、どの業務を改善することが最もインパクトが大きいのか?」を突き詰めるべきなのです。 意思を持って 改善対象を 選択したか? 成果を出すための業務改善は、やみくもに手をつけるものではありません。目的意識を持って「どこにメスを入れるか」を戦略的に選ぶこと。これが、全ての努力を実らせるための絶対的な前提条件となります。 2. 感覚は頼りにならない:「測る」ことから全ては始まる 効果的な改善策を打つためには、まず自分たちが「何にどれだけ時間を使っているか」を客観的なデータで把握する必要があります。「なんとなく会議が多い気がする」「この入力作業に時間を取られている感じがする」といった感覚だけに頼っていては、的確な打ち手は見えてきません。 現状を正確に把握するための代表的な手法を2つ紹介します。 瞬間観測法(ワークサンプリング): ランダムな時刻に「今、何をしているか」を記録していく手法です。これを数百〜千サンプル程度集めることで、個々の業務が全体の何パーセントを占めているのか、その割合を客観的に可視化することができます。 聞き取り調査: ...